悲喜こもごも、地方発映画祭事情

地方再生、村おこし・町おこしの一環として活用されてきた地方発の特色を生かした映画祭。成功したケース、残念ながら継続にいたらなかったケースと、さまざまな事例が見られているようです。今回は、地方発の映画祭・短編映画祭事情に迫ります。


地方再生動画、カンヌ国際映画祭で上映!

高知県四万十市を舞台に商店街や市民から資金を募って製作した作品『あらうんど四万十カールニカーラン』が、地元で開催された四万十映画祭がきっかけで、世界的な映画の祭典カンヌ国際映画祭で上映される快挙をなしとげました。
四万十映画祭実行委員長を務める米津太さんは、地元出身の松田大佑監督から「四万十ではもう30年も映画の撮影が行われていない。四万十を舞台に、今ブームになっている自転車をテーマにした映画を撮らせてほしい」という要請を受け、自らがプロデューサーとなり、俳優や有志メンバーとともに『あらうんど四万十カールニカーラン』を制作。地元の魅力を発信した同作品は、四万十映画祭で成功をおさめた翌3月に、東京アニメアワードフェスティバルのアニメ予告編コンペティションの作品として特別上映。さらに、沖縄国際映画祭特別招待作品として上映されたあと、カンヌ国際映画祭に出品されました。地方発映画の歴史的快挙として注目されています。


炭鉱から文化都市へ! ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 

地方映画祭の代表的存在といえば、北海道夕張市の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」です。
炭鉱の衰退とともに、人口が最盛期の8分の1まで減少し、過疎の一途をたどっていた夕張市。「炭鉱から観光へ」を合い言葉に、生き残り策として賭けたのが観光業の振興でした。
観光客誘致のために、石炭の歴史村、スキー場、ホテル、温泉などのハード面を整備する一方、ソフト面で目玉となるイベントが必要でした。夕張市では、炭鉱労働者の娯楽として映画は古くから親しまれてきたことと、音楽や出演する俳優陣など複合的に文化発信ができる映画は地方振興にもうってつけだろうと、映画好きだった当時の中田鉄治市長(故人)が発案。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭が開始されました。
「理屈抜きに楽しめる」「世界に羽ばたく映画人の発掘」「観客と制作者の垣根がない」の3つをモットーとする同映画祭は、国内外の映画ファンから支持を集め、2万6,000人の観客を動員するまでに成長しました。
しかし、そうしたなかでも夕張市の財政は悪化の一途をたどり、2006年には正式に夕張市が主体となる映画祭の休止が決定しました。その後、同映画祭の復活を願う映画人やファンの尽力のもと、2008年に復活し、今にいたっています。
ちなみに、 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭には、弊社エレファントストーンの映像ディレクター・安田が2012年にプロデューサー兼カメラマンとして『ショートカットファンクラブ』を、また、2013年には監督として『着ぐるみ女子大生』を出展しています。


誰がために映画祭は開催する? 

地方都市で行われる映画祭のほとんどは、「町おこし・村おこし」を目的にしていますが、夕張の例に見られるように地方自治体の財政状態は悪化しており、補助金が打ち切られるなど小規模な映画祭の運営を直撃しています。
レンタルビデオ店やインターネットのストリーミングや動画サイトで、最新作から過去の名作まで、好きな映画をいつでも手軽に見られる今、映画祭というだけでは集客を見込むのは難しくなっています。星の数ほど大小さまざまな映画祭が開催されるなか、地方発の映画祭を盛り上げるには、「ターゲットを絞った地道なマーケティング活動」と「作り手と観客の情熱の共有」が重要だと考えられます。



参考: